Newsお知らせ

西暦 2000 年 1 月から西暦 2020 年 12 月の間に腎細胞癌の診断で、産業医科大学病院泌尿器科にて手術、薬物療法を行った患者さんおよびご家族の方へのお知らせ

~腎細胞癌の治療成績を検討する研究において、診療録および採取させていただいた生
体試料(病理組織標本)を使用する事のお願い~

当院では、以下の臨床研究を実施しております。本研究は、通常の診療で得られた過去
の情報の記録に基づき実施する研究です。このような研究は、「人を対象とする医学系研究
に関する倫理指針(西暦 2014 年 12 月 22 日制定 西暦 2017 年 2 月 28 日一部改正)」によ
り、対象となる患者さんのお一人おひとりから直接同意を得るのではなく、研究内容の情
報を公開するとともに、参加拒否の機会を保障することとされています。本研究に関する
お問い合わせ、また、ご自身の生体試料および診療情報が利用されることを了解されない
場合は、以下の問い合わせ先にご連絡ください。利用の拒否を申し出られても何ら不利益
を被ることはありません。
1.研究課題名
腎細胞癌に対する治療戦略の構築および腎細胞癌の進展における ANGPLT family の
機能解析
2.研究期間
西暦 2021 年 4 月 1 日~西暦 2024 年 3 月 31 日
3.研究機関
産業医科大学医学部泌尿器科学研究室
4.実施責任者
産業医科大学医学部泌尿器科学 助教 東島 克佳
5.研究の目的・意義
[目的]
腎細胞癌は、早期に症状が出ることは稀であり、画像検査が十分に行えない時
代には、進行癌で診断される症例が多く存在しました。現在は健康診断の普及や画像診断法の進歩に

伴い、早期に診断し治療を行うことができるようになってい
ます。治療においては、手術療法や分子標的薬に加え、免疫チェックポイント阻害
薬という新たなカテゴリーの薬剤が導入されており、腎細胞癌の治療法は多様化し
てきています。そこで、これまで当院で行われた手術療法・薬物療法の各々の治療
成績をすべて調査し、より治療効果および安全性の高い治療戦略の確立につなげる
ことを本研究の目的とします。
アンジオポエチン様因子(Angiopoietin-like protein:ANGPTL)は、血管新生因子
アンジオポエチンと類似の構造を持つ分泌タンパク質であり、現在までに8種類が同
定されています。その多くが血管新生制御に何らかの作用を示すことが明らかとな
っていますが、糖・脂質代謝やエネルギー代謝、発癌、癌浸潤・転移促進などに関
与していることも明らかとなっています。そこで、本研究の質を高めるために、ア
ンジオポエチン様因子と腎細胞癌の関連についても明らかにしたいと考えています。
[意義]
今回の研究は、すでに治療が終了している方を対象とするため、参加する患者さ
んの治療に直接的な影響は与えませんが、今後医学が発展することに役立ちます。
その結果、将来、腎細胞癌で苦しむ方々の治療がより効果的に行われるようになる
ことが期待されます。
6.研究の方法
・ 当科で腎摘除術、腎部分切除術を行った腎細胞癌症例を電子カルテの記録から集
計し、年齢、病期、臨床検査所見、画像所見、手術合併症、悪性度、病理組織学
的特徴と予後を調べ、各病期や組織型による手術術式の治療成績および安全性を
比較します。
・ 腎摘除術、腎部分切除術の摘出標本を用いて ANGPTL family やストレス関連因子、
転写因子(NF-κB、STAT、AP-1 など)、ケモカイン、好中球、マクロファージなど
の免疫染色を行い、腎細胞癌の悪性度や予後との関係、組織型による相違、転移
との関係を調べます。
・ 当科で薬物療法(サイトカイン治療、分子標的治療、免疫チェックポイント阻害
薬)を施行した腎細胞癌症例を電子カルテの記録から集計します。年齢、病期、臨
床検査所見、画像所見、合併症、予後を調べ、各薬物療法の治療反応性、組織型に
よる効果の差および安全性を比較し、適切な投与タイミングを検討します。また、
併せて転移巣切除や放射線照射併用による薬物治療の相乗効果や予後延長効果
について検討します。

7.研究への参加の任意性とその同意の撤回
本研究に該当する患者さんで、ご自身の診療情報や病理組織標本の使用を希望さ
れない方は、下記担当医師へお申し出下さい。その場合、本研究からは除外させて
いただきます。また、本研究に参加されなくても不利益を受けることは全くありま
せん。
8.個人情報の取り扱い
プライバシー確保のために個人情報はいかなる形でも本研究の研究者以外の外部
の者に触れられないよう当大学泌尿器科学教室の鍵のかかる金庫に保管し、研究者
の道義的責任に基づき厳重に管理します。また、個人名及び個人情報の公表はいか
なる形でも行いません。本研究に使用する臨床情報や生体試料(腎摘除術・腎部分切
除術で得られた病理組織標本)は、対象者が特定できないように研究実施責任者の厳
重な監督の下に匿名化し、厳重に管理します。生体試料および個人情報は研究実施
責任者の監督のもとに、研究終了報告日から 5 年を経過した日、または最終研究
結果の報告から 3 年を経過した日のいずれか遅い日まで保管した後に、以下のよ
うに廃棄します。生体試料は密封された容器に廃棄し焼却処分します。対応表破
棄後、臨床情報・研究結果は USB からデータをすべて削除します。研究途中で、
利用拒否の申し出を頂いた場合は、その時点までに得られた研究結果や生体試料は
上記と同様に廃棄します。
9.問い合わせ先
産業医科大学医学部泌尿器科学
〒807-8555
北九州市八幡西区医生ヶ丘 1-1
電話 093-691-7446 ファックス 093-603-8724
研究実施担当者:東島 克佳
9.その他
すでに治療が終了している患者さんを対象としており、経済的負担や謝礼はあり
ません。また、本研究の参加による直接的な利益はありません。本研究は一切の利
益相反はなく、産業医科大学利益相反委員会の承認を得ており、公正性を保ちます。

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