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西暦2000年1月から西暦2019年9月の間に前立腺がんの診断で、産業医科大学病院泌尿器科にて手術、放射線療法、薬物療法および経過観察を行った患者さんおよびご家族の方へのお知らせ

2019 年11月19日

~前立腺がんの治療成績を検討する研究において、診療録および採取させていただいた
生体試料(病理組織標本)を使用する事のお願い~

当院では、以下の臨床研究を実施しております。この研究は、通常の診療で得られた過去
の情報の記録に基づき実施する研究です。このような研究は、「人を対象とする医学系研究
に関する倫理指針(西暦2014年12月22日制定 西暦2017年2月28日一部改正)」 に よ
り、対象となる患者さんのお一人おひとりから直接同意を得るのではなく、研究内容の情報
を公開するとともに、参加拒否の機会を保障することとされています。この研究に関するお
問い合わせ、また、ご自身の生体試料および診療情報が利用されることを了解されない場合
は、以下の問い合わせ先にご連絡ください。利用の拒否を申し出られても何ら不利益を被る
ことはありません。
1. 研究課題名
前立腺癌に対する治療戦略の構築および前立腺癌増殖とヒアルロン酸代謝の関連性
の検討
2. 研究期間
西暦2019年11月19日~西暦2022年10月31日
3. 研究機関
産業医科大学泌尿器科学教室
4. 実施責任者
産業医科大学医学部泌尿器科学 講師 湊 晶規
5. 研究の目的
前立腺がんの治療は、年齢・進行の程度・併存疾患・日常生活の質に与える影響を
考慮し、外科療法、放射線療法、内分泌療法、化学療法、監視療法(経過観察)等が
選択されます。前立腺がんは世界的に非常に発症頻度の高い疾患であり、本邦におい
ても、近年もっとも増加している悪性腫瘍のひとつです。2020年頃から前立腺癌の患
者総数は10万人を超え、すべての悪性疾患の中で1位になると予測されています。そ
れに伴い、前立腺がんによる死亡者数も1.8倍に増加すると予測されています。私た
ち泌尿器科医にとって前立腺がん治療のニーズは非常に高い状況となります。そこ
で、これまで当院で行われた各治療成績をすべて調査し、より治療効果および安全性
の高い治療戦略の確立につなげることを本研究の目的とします。
また、ヒアルロン酸の合成経路が癌の増殖や進展に促進的に作用しているという
報告が近年注目されています。前立腺がんにおいてはあまり研究されていない分野
であり、この研究の質を高めるために、前立腺がんとヒアルロン代謝との関連性も明
らかにしたいと考えています。
6. 研究の方法
・ 当科で前立腺全摘除術(開腹手術・腹腔鏡手術・ロボット支援手術)を行った前
立腺がん症例を電子カルテの記録から集計します。年齢、悪性度、病期、臨床検査
所見、画像所見、合併症、予後を調べ、各術式の比較を行います。
・ 前立腺全摘除術の摘出標本を用いてヒアルロン酸代謝に関する免疫染色を行い、
局所前立腺がんの予後との関連を調べます。
・ 当科で放射線治療(3DCRT・IMRT・密封小線源療法)を行った前立腺がん症例を電
子カルテの記録から集計します。年齢、病期、臨床検査所見、画像所見、合併症、
予後を調べ、各照射法の治療成績を比較する。また、同じ病期における放射線治療
と手術治療の治療成績および予後を比較します。
・ 当科で内分泌療法(ホルモン治療)による薬物療法を施行した前立腺がん症例を
電子カルテの記録から集計します。年齢、病期、臨床検査所見、画像所見、合併
症、予後を調べ、各内分泌療法の治療反応性および安全性を比較し、適切な投与タ
イミングを検討します。
・当科で抗がん剤による化学療法(ドセタキセル治療・カバジタキセル治療)によ
る薬物療法を施行した前立腺がん症例を電子カルテの記録から集計します。年齢、
病期、臨床検査所見、画像所見、合併症、予後を調べ、治療反応性および安全性を
比較し、適切な投与タイミングや適切な投与コース数を検討します。
・当科で前立腺針生検を施行して前立腺がんの診断を行った症例を電子カルテの記
録から集計します。その後、内分泌療法や化学療法を行った症例において、前立腺
針生検の摘出標本を用いてヒアルロン酸代謝に関する免疫染色を行い、転移性前立
腺がんの予後との関連を調べます。
・治療を行わずに当科で経過観察を行った前立腺がん症例を電子カルテの記録から
集計します。年齢、病期、臨床検査所見、画像所見、予後を調べ、途中で治療介入
行った症例と治療を行わなかった症例の比較を行い、前立腺がんの自然史の特徴を
探ります。
7. 研究への参加の任意性とその同意の撤回
この研究に該当する患者さんで、ご自身の診療情報や病理組織標本の使用を希望
されない方は、下記担当医師へお申し出下さい。その場合、この研究からは除外させ
ていただきます。また、本研究に参加されなくても不利益を受けることは全くありま
せん。
8. 個人情報の取り扱い
プライバシー確保のために個人情報はいかなる形でも本研究の研究者以外の外部
の者に触れられないよう当大学泌尿器科学教室の鍵のかかる金庫に保管し、研究者
の道義的責任に基づき厳重に管理します。また、個人名及び個人情報の公表はいかな
る形でも行いません。この研究に使用する既存情報や生体試料(前立腺全摘除および
前立腺針生検で得られた病理組織標本)は、対象者が特定できないように研究実施責
任者の厳重な監督の下に匿名化し、厳重に管理します。生体試料および個人情報は研
究実施責任者の監督のもとに、研究終了報告日から 5 年を経過した日、または最
終研究結果の報告から3年を経過した日のいずれか遅い日まで保管した後に、適
切に廃棄します。研究途中で、利用拒否の申し出を頂いた場合は、その時点までに得
られた研究結果や生体試料は適切に廃棄します。
9. 問い合わせ先
産業医科大学医学部泌尿器科学
〒807-8555
北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1
電話 093-691-7446 ファックス 093-603-8724
研究実施担当者:湊 晶規
9.その他
すでに治療が終了している患者さんを対象としており、経済的負担や謝礼はあり
ません。また、この研究の参加による直接的な利益はありません。本研究は一切の利
益相反はなく、産業医科大学利益相反委員会の承認を得ており、公正性を保ちます。

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