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腎癌研究会@トーキョー

2025.09.10 ブログ

腎細胞癌は泌尿器科悪性腫瘍の中で前立腺癌に次いで多く、

治療法も多岐にわたります。手術においてはロボット支援腎部分切除術(RAPN)や腎摘除術(RARN)が現在主流で、薬物療法は分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬などの併用療法が数多く存在しています。

今回は6年目の坪沼裕人先生が発表してきました。学びの多い機会になったようで何よりですね!

『2025年7月5日に開催された第55回腎癌研究会に参加し、「転移性腎集合管癌に対するニボルマブ+カボサンチニブ療法」について発表いたしました。

腎集合管癌は極めて稀な腎癌亜型であり、有効な標準治療は確立されていません。従来はGC療法が選択されることが多いものの、副作用が強く、治療継続が困難な症例も少なくありません。本症例では、IO+TKI併用療法によりQOLを維持しながら治療を継続できた点を中心に報告し、新たな治療選択肢の可能性として提示いたしました。

私の発表したポスターセッションでは主に症例報告が中心で、いずれも実臨床に直結する興味深い内容ばかりでした。特に印象に残ったのは、若年発症の転移性乳頭状腎癌の報告で、会場から「FH欠損型腎癌の鑑別はどのように行われたのか」といった鋭い質問があり、診断の重要性が再認識されました。また、ニボルマブ+カボサンチニブ療法中に突然胸水貯留を来した症例報告では、シュードプログレッションかirAEかという鑑別をめぐって活発な議論が交わされ、IO治療における評価の難しさを改めて感じました。

セミナーでは、新たに承認されたHIF-2α阻害薬ベルズチファンに関する報告があり、主に3次治療以降の患者を対象としたLITESPARK-005試験での有効性が紹介されました。また、基礎研究部門のセッションでは、NF2遺伝子変異と腎癌との関連についての報告がありました。私自身、基礎的な内容の理解にはまだ課題を感じる部分もありましたが、日常診療では触れる機会の少ない最新の分子病態に関する知見を知ることができ、非常に興味深く感じました。

学会終了後には懇親会や他大学との合同の交流会も開催され、多くの先生方と親しく情報交換をさせていただきました。著名な先生方と自由に意見交換ができるこの研究会の雰囲気は非常に魅力的であり、腎癌診療の最前線に触れる貴重な機会となりました。

今回の参加を通じて、希少癌や分子病態への理解を深めるとともに、今後の治療戦略における示唆を多く得ることができました。 』

 

来年は7月3日4日に岩手で開催予定です。

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