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はじめての泌尿器科①
成長の道程…シリーズは4年目の後期修練医の先生方
はじめての泌尿器科シリーズは3年目(泌尿器科1年目)の先生方とします。
はやくも、その3年目の先生方の先陣をきって参加記が届きました。
どうでしょう、なかなかどうしてしっかりとした記事です!
『第31回 日本遺伝性腫瘍学会学術集会 参加記録 佐藤 博亮
このたび、2025年6月20日〜21日に北九州国際会議場で開催された第31回日本遺伝性腫瘍学会学術集会に出席し、ポスター発表の機会をいただきました。発表演題は「Lynch症候群の尿路上皮癌術後再発に対してPembrolizumabが奏効した2例」であり、泌尿器腫瘍と遺伝性腫瘍の接点を考えるうえで、非常に有意義な経験となりました。
今回の発表準備では、Lynch症候群をはじめとする遺伝性腫瘍に関する最新の知見やガイドラインの再確認に加え、MSI検査やMMR遺伝子の病的バリアント評価、免疫チェックポイント阻害薬であるPembrolizumabの適応に関する理解を深める必要がありました。今まで遺伝性腫瘍に関わる機会は全くなく、遺伝学的内容に苦手意識も感じながらのスタートでした。また、ポスター形式での発表は私にとって初めての経験であり、パワーポイントを用いた口頭発表とは異なるレイアウトや見せ方に大きな違いがあり、完成までに多くの時間と労力を要しました。限られたスペース内で、臨床経過・治療経過・考察を簡潔に伝えるためには、図表の構成、文字量の調整、視線誘導の工夫など多くの試行錯誤を重ねました。内容そのものに加えて、伝え方にも配慮が必要であることを学べた点は、今後のプレゼンテーション全般にも生かせると感じています。
学会当日は、泌尿器科領域だけでなく、HBOCやFAPなど、他科領域における遺伝性腫瘍の研究成果や実際の診療の工夫に触れることができました。ゲノム医療の普及とともに、疾患横断的な知識や、診療科を超えたアプローチが求められている現状を改めて認識しました。一方で、内容の専門性が高く、特に分子生物学的背景や遺伝子解析手法、家系図の読み解きといった分野において、自身の勉強不足を感じる場面も少なくありませんでした。そこで、今回の演題として取り上げたLynch症候群に関する発表を中心に聴講するようにしました。治療反応性の評価だけでなく、家族歴の取り方や遺伝カウンセリングとの連携の重要性など、Lynch症候群診療の実際について学ぶことができ、非常に有意義でした。
また、本学会では医師に限らず、看護師、臨床検査技師、遺伝カウンセラー、さらには患者さんやご家族自身による発表も多く行われていました。専門家としての視点に加えて、実際に病気と向き合っている方のリアルな声に触れられたのはとても有意義で、遺伝医療の本質を感じることのできた体験だったと感じています。遺伝性腫瘍診療は単なる遺伝子検査にとどまらず、患者の人生設計や家族構成にも深く関与するものであるいうことを認識しました。』
